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加古川市の根本治療専門院
鍼灸治療院きさらぎ 院長の独り言

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臨床雑話
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マッサン
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    かつて上方落語の爆笑王、桂枝雀師匠は言った。
    「笑いとは緊張の緩和である」と。
    しかし、何を緊張と感じ、何を緩和と捉えるかは人それぞれ違う。
    それだけに万人に受けるのは難しい、とも。
    その難題に彼は最後まで苦しんだのだろう。


    ウイスキーの売り上げが好調だそうだ。
    ここ数年のハイボール人気に加えて
    NHKの朝のテレビ小説「マッサン」の影響だろう。
    サントリーのウイスキー部門を立ち上げ、
    後にニッカウヰスキーを創り、日本のウイスキーの父と呼ばれる
    竹鶴政孝氏をモデルとしたドラマである。

    ドラマでは今、主人公亀山政春がサントリーならぬ鴨居商店にて
    社長命令の大衆受けするウイスキーと
    自分の理想とするウイスキーとの狭間で悩み苦しんでいるところだ。

    これはどんな業界においても普遍的な提題だろう。
    通好みか一般向けか。
    理想に邁進するか妥協するか。
    どちらを選んでも間違いではない。
    徹底して大衆向けを目指す。それも一つの在り方だ。
    しかし、妥協の産物の中に本物は残りえるだろうか。


    ファーストフードやファミリーレストランなどの
    濃く刺激の強い、誰にも分かりやすい味に慣れて、
    また、そういう味を求める舌には精進料理や京料理のような
    素材の旨味を活かした淡白な味は物足りないものになるだろう。

    嗜好品ならば通好みでも大衆向けでも何でも構わない。
    けれど毎日の食事、自分の肉となり血となる食事が
    レトルト食品や外食のような濃い、くどい味ばかりに
    なったらどうだろう。
    現に食習慣の変化に伴って増えた病気は山とある。

    好みの味ばかり求める舌は、
    身体が真に求めるものを打ち消してしまう。
    身体の声に気づける身体と気づけない身体。
    どちらが健康的かは言うまでもない。


    治療においても同様のことが言える。
    慰安目的ならば「痛気持ちいい」強いマッサージでも何でも良いだろう。
    ブロック注射や慢性期の湿布のように、正常な感覚を鈍らせる、
    症状取り、痛み取りの対症療法も良いだろう。

    けれど「治療」となればそうはいかない。
    患者さんの鈍った感覚に合わせた強い刺激は益々身体を鈍くさせてしまう。
    身体の正常な反応として表れた症状を
    無理やり消してしまう対症療法も然り。
    身体を鈍らせる施術を「治療」とは呼ばない。
    少なくとも当院では。


    症状は無理やり消せば良いというものではない。
    それは心身が整い、治癒力が高まるに従い、
    結果として改善されるべきものだ。
    よって、当院では対症療法は基本的に行わない。

    そしてそういう治療だと
    根本治療なのだと理解して治療を受けるか、
    症状取りや慰安を求めて治療を受けるか、
    治療を受けるご本人の在り方も重要だ。

    豚骨ラーメンを求める舌で精進料理を食して
    その旨味がよく分かるだろうか。
    精進料理を食べるならその心づもりの舌で食すのが相応しい。
    その上でその旨味が分からないとしたら、
    それを感じられないほど自分の身体が鈍っている
    ということへの気づきにつながる。
    素材の旨味に気づけない鈍った感覚に従って、
    「精進料理はまずい」と判じてしまえばそれまでのこと。


    当院では、患者さんの好みの味に合うように、
    あれでもないこれでもないと
    調味料をどんどん加えていくような施術はしない。
    最終的にどこに鍼を打つことが適切か、
    診察の段階で明らかにしてから治療が始まる。
    必要最小限の働きかけをし、お身体の反応を俟つのみである。

    治すのはご本人の治癒力そのものなのだから。


    オーダーメイドの治療。
    すなわち患者さんのああしてほしいこうしてほしいという
    要求に従った治療は当院では行わない。
    例えば「もっと薬の量を増やしてくれ、強い薬にしてくれ」
    という要求に安直に従い応える医師を
    あなたは信頼できるだろうか。


    誰もが感じられる分かりやすい濃い調味料の味。
    分かる人には分かる淡白な素材の味。
    どちらを食べ続けるのが健康的かは明らかだし、
    どちらを選ぶもそれぞれの自由だけれど、
    当院はどこまでも理想の治療を追求し、提供したい。
    あなたの欲求を満たす治療ではなく、
    あなたのお身体の欲求を満たす治療を追求し、提供したい。
    慰安院ではなく治療院なもんで。


    自分、不器用ですから。
    す、すぅヴぃぶぁせんねぇ。


    さて、サントリーの
    「シングルモルトウイスキー山崎シェリーカスク2013」が
    イギリスの著名なガイド本「ウイスキーバイブル2015」で
    「世界最高のウイスキー」に選ばれたそうだ。
    その味が一般受けを狙った妥協の産物でないことは確かである。



    『世の人は己れをなにともゆわばいへ 己なすことは己れのみぞ知る』
    坂本 竜馬


    加古川の根本治療専門院 鍼灸治療院きさらぎ  http://sinq-kisaragi.net/


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    | 元気の底上げ通信(ほぼ臨床から) | 08:43 | comments(0) | trackbacks(0) |









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